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街の明かりは眩しくて
夜があってもそれを感じさせないほど眩しくて
だけど、暗黒の闇に囚われそうになったとき
その眩しすぎる明かりは
希望の明かりへと輝きだす
さぁ、貴方の行く先で
眩しく光っているその場所へ
希望へたどり着くためにその一歩を踏み出そう
そこで貴方の大切で愛しい人が
微笑みながら腕を広げて待っているから・・・・・・
(イラストレーター:ロレンス)
パタパタと走る音が聞こえてくる。
ここは美しく輝く星の国、その王宮の廊下だ。
そこを華やかなドレスを着た可愛い姫君が走っていた。
「姫!姫、お待ちください!危険すぎます!」
その後ろを、息を切らせながら一人の騎士が追いかける。
彼は彼女の護衛任務に就いている近衛騎士団の一人。
そして、彼女が一番信頼している大切な相手だ。
騎士はようやく姫君を捕まえると、息を整えながら少し怒った顔をする
「地上へは行ってはいけないと、父君や母君にご注意を受けているではありませんか」
姫君は少しふくれっ面・・・
「父様も母様も心配しすぎなの!前に行ったときは大丈夫だっ・・・」
「あれは兄君が姫を助けたからです!私・・・いや、俺の身にもなってください」
貴女が心配で心がつぶれてしまうかと・・・と、騎士は姫を抱きしめた。
姫は少しだけ大人しくなる。が、すぐにいたずら顔で騎士を見上げた。
「では貴方と出かけるわ。それなら大丈夫でしょう?」
かくして、姫の地上への探求心に負けた騎士は、国王に許可を取り
彼女と共に地上へと降りることになったのだった・・・
今から7年前の雨月家。
メイド達が慌しく走り回り、緊迫していた。
今まさに、1つの命が生まれようとしていたからだ
別室には、先代頭首である雨月蓮杖を初めとする雨月家男子が集まっていた。
「少し時間が・・・かかっていますね」
心配そうに先代に話しかけたのは、現頭首雨月風花の夫、那月
「確かにな。だが案ずることは無かろう」
気遣うように微笑む彼を見て那月は、そうですね。と少し力を抜いた
「・・・なぁ、那月。庭に猫・・・」
隣に座っていた男の子に呼ばれて庭を振り返る
男の子の名は風魔風樹。雨月家とは縁のある家の息子だが、
とある事件で両親が他界。今は彼と風花が、親代わりとして育てていた
庭を見た那月は、集まっていた猫-黒猫-にぎょっとなった
先代もその様子を見るが、ふっと笑う
「風花の時と同じだ。お前達の子も高い能力を持って生まれてくるようだな」
「高い能力・・・灼滅者として、ですか?」
那月の答えに頷く先代。そしてそっと息をつく
「何としても守らなければな。風樹と同様に、学園に入るまでは・・・」
そして女の子が誕生する
名前は先代の1文字と母親の1文字を取って『蓮花』
雨月家では『蓮の君』と呼ばれるようになるのだった・・・