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	今から7年前の雨月家。
	メイド達が慌しく走り回り、緊迫していた。
	今まさに、1つの命が生まれようとしていたからだ
	別室には、先代頭首である雨月蓮杖を初めとする雨月家男子が集まっていた。
	「少し時間が・・・かかっていますね」
	心配そうに先代に話しかけたのは、現頭首雨月風花の夫、那月
	「確かにな。だが案ずることは無かろう」
	気遣うように微笑む彼を見て那月は、そうですね。と少し力を抜いた
	「・・・なぁ、那月。庭に猫・・・」
	隣に座っていた男の子に呼ばれて庭を振り返る
	男の子の名は風魔風樹。雨月家とは縁のある家の息子だが、
	とある事件で両親が他界。今は彼と風花が、親代わりとして育てていた
	庭を見た那月は、集まっていた猫-黒猫-にぎょっとなった
	先代もその様子を見るが、ふっと笑う
	「風花の時と同じだ。お前達の子も高い能力を持って生まれてくるようだな」
	「高い能力・・・灼滅者として、ですか?」
	那月の答えに頷く先代。そしてそっと息をつく
	「何としても守らなければな。風樹と同様に、学園に入るまでは・・・」
	
	そして女の子が誕生する
	名前は先代の1文字と母親の1文字を取って『蓮花』
	雨月家では『蓮の君』と呼ばれるようになるのだった・・・
・・・あれから7年。生まれた女の子は小学生になっていた
	
	「蓮!何やってんだ、早くしねぇと遅刻だぞ!」
	高等部の制服を着た風樹がイライラしながら玄関で叫ぶ
	「今行くもん!そんな大きな声出さなくてもいいじゃん」
	そう言いながら、パタパタと走ってきたのは輝く漆黒の髪をツインテールに結んだ少女
	その後から母親の風花が、苦笑しつつ玄関に出てきた。
	「お待たせ風樹。蓮花をお願いね?」
	まったく・・・と彼は呟くと、蓮花の手を握る。
	「・・・で、帰りは直接学生寮にいっていいんだよな?姉貴」
	「えぇ、お願い。荷物は私達が運んでおくわ」
	「また風樹と一緒だね?」
	えへへ。と彼を見上げて微笑む蓮花に、やれやれと呆れ顔の風樹。
	だが、少し微笑んで頭にぽんと手を置く。
	「風樹はわたしの騎士だもん♪」
	「ば~か、騎士ってのはなぁ・・・」
	「ほら二人とも、バスが来るわよ」
	学園専用のバスは家の門の前に止まった。
	「蓮花ちゃん、おはよ~」
	「おはよ~。わたしもね、今日から学生寮に入るんだよ?」
	「わぁ、どこどこ?」
	そんな蓮花達の横で、風樹は男子生徒に毎朝の洗礼をされる
	「よう、風魔。今日も姫君の騎士役ご苦労さんだな」
	「うっせーよ。なんなら代わってみるか?」
	「いや、遠慮するよ。チビは苦手だしさ」
	そんな会話は、武蔵坂学園校門に着くまで、続いていた。
	
	蓮花と風樹。
	本当の兄妹のように育ってきた二人にとってこれからの人生は意味の大きなものになるだろう
	灼滅者としての戦いの中で何を見つけ、何を感じるか・・・
	それは今は神しか知らない・・・・・・